日記のようなもの
1今日の1冊  仕入れた本についてあれやこれやとつぶやいた日記のようなものです。



2012年 2月11日

今日の1冊は「みちのくキリシタン物語(只野淳著)」という本。私の田舎信州伊那にも隠れキリシタンの記録があり、少しずつ調べ始めているところだったので、この本はとても勉強になりました。昨年末から神保町の三省堂本店4階にキリスト教関係の棚を1棚もたせていただいているので、近々出品します。

2011年 12月23日

今日の1冊は、神奈川県の真鶴町が1990年代の開発ラッシュにいかにしてまちの景観を守ったかということを記録した「美の条例」という本。主観的な「美」の受け止め方を、皆が共有すべき基準として制定するプロセスが興味深い。大学時代の先輩がこの運動に関わっていて在庫をまとめていただきました。
11月15日

今日の1冊は「街道筋に生きた男たち(佐々木烈著)。タクシー乗務員をされている著者が、雲助と呼ばれた時代から、人力車、馬車にいたる自分たちのルーツを丹念に調べあげ、愛情をこめて書き綴った。乗務の合間をぬって書かれたというが、とても片手間の仕事には思えない。提示される資料も豊富。
11月7日

今日は古本の魔力に取りつかれた男たちを描いた梶山季之の「せどり男爵数奇譚」。江東区の生涯学習センターで古本屋の楽しみ方についてお話しすることになっており、そのためのネタとして再読している。40年以上前の古本業界の話だけど今に通じるものもあり、その辺りを伝えられればと思っています。
11月2日

今日は講談社現代新書の「日本人の歴史(水野祐著)。著者は戦後の歴史書があまりにも専門分化に陥り、古代から現代に脈々とつながる日本人の生き方が見えてこないと嘆く。長い日本の歴史を新書1冊にまとめたこの本。史実の羅列でなく、背景に一貫した史観があるので安心して身を委ねられるのだ。
10月31日

今日の1冊はずいぶん昔に仕入れた「第18回オリンピック競技大会公式報告書」。東京オリンピックの公式記録というだけにとても大きい本で、装丁も頑丈。100年はもちそう。重いけど今日は雨の心配がなさそうなので出店中の神保町の古本祭りにもって行くことにします。お店は三省堂本店の店先です。
10月30日

今日の1冊は新書版の「大魔術の歴史(高木重朗著)という本。よく見るカップの下で玉が消えたり移動したりする奇術(なんと発祥は紀元前2500年のエジプトだという)から今日まで、人を驚かせるために心血を注いできた人々の歴史が連綿と綴られている。先週、高遠ブックフェスティバルにて購入。
10月29日

久しぶりの今日の1冊は大下宇陀児の「宙に浮く首」。実はこの本わけ があって購入者から返品されてきた。お話の舞台が信州諏訪湖の近くにある山村ということで、私の故郷に近いこともあって読むのを楽しみにしていたが、注文が入って手放してしまった。でもこうして出戻ってくるとは、ういやつじゃ。
9月3日

今日は小平林檎園刊の「明るさの神秘(宇佐見英治)という本。著者の熱心な読者だった岩手で林檎園を営む夫妻が、これまでに発表されたエッセイを1冊の本にまとめてしまった。著者も、私の本が林檎園から出るなんてどうして想像できただろうと書いている。翌年にはみすず書房から復刻された。
8月24日

今日の一冊は室生犀星の「火の魚」。昭和35年発行の初版を、神保町の三省堂本店8階の古本市で手に入れる。真っ赤な地に火の魚と描かれただけのシンプルな装丁が、ドラマの感動を呼び起こしてくれる。オンライン古書店451も、この古本市に出品しています。今月いっぱい開催です。掘り出し物も結構あります。
「火の魚」
7月29日

お世話になった先生が書かれた「民話の森の歩き方(樋口淳)という本を読んでいる。民話のディープな世界に踏み入って色々な歩き方を手際よくみせてくれ、興味はつきない。さて、大宮そごうの古本市も、1ヶ月という長丁場だったけどあと3日。初めての出店でしたが、なんとか乗り越えられそうです。
開店前の451
5月16日

昨日、高円寺の縁台古本市で「まつり(萩原秀三郎)という本を百円均一棚で買う。日本各地のまつりを紹介した50年も昔の本だけど、写真が豊富で、「仮面」「人形」「火」というジャンルの分け方も気に入った。僕もこのイベントに出品させてもらっていて、店番しながら読むにはピッタリの本だった。
5月4日

今日の1冊は「落語のレトリック」(野村雅昭著)。レトリックは文学作品の専売特許でなく、もともと口頭の技術として発展したのだと著者は言う。志ん生が演じた「火焔太鼓」を例に、道具屋がお城で三百両をもらう場面と、その金を道具屋が女房に渡す場面の詳細な対比がされていてなるほどと思わせる。
2月9日

佐々木元勝「野戦郵便旗/日中戦争に従軍した郵便長の記録」を仕入れたら、昭和十二年の上海市街図が付録でついてきた。新聞を広げた大きさがある。昭和十二年なら井上ひさしの「シャンハイムーン」の舞台になった内山書店があるはずだと思って探すが、ちょうど折り目のあたりで判読できず。残念
2月6日

関口良雄著「昔日の客(復刻版)」を読む。かつて山王書房があった場所が私の家からそう遠くないことを知り、尾崎一雄や野呂邦暢など多くの文士たちが通っただろう道を歩いてみる。古本屋として大切な志の高さを教えてくれた本、本のもつ力を教えてくれた本、この本は自分用にとっておくことにします。
2月3日

「矢内原忠雄その信仰と生涯(1967年刊)」という本を仕入れたら、ページの間にかなり古い写真が1枚はさまれていた。研究室のような部屋でカメラに向かう人物を写したものだが、見れば見るほど、若い頃の矢内原忠雄その人ではないかと思えてくる。大きな図書館に行ってちゃんと調べてみます。
2月2日

昭和58年に国際地図出版から発行された「日本の旅」という本には、1つ1つ袋分けされた各地のレジャーマップ(絵地図)が13種類も付いてくる。30年前の地図なので描かれたイラストになんとも味があり、思わず旅心を誘うのだ。大きい本なので迷ったが、倉庫も借りたことだし思い切って仕入れる。
2月1日

今日の1冊は「結び目の謎」。結び目のもつ霊的な力については興味深いが、江戸時代には縛られるということはとても不名誉で忌むべきことだったらしい。だから相当な罪人でない限り縛ることなく、つまり結び目をつくらず、縄をぐるぐる巻いただけで引っ立てたという。なんとやさしい時代だったことか。
2010年 8月5日

キャピー原田の「太平洋のかけ橋」に、ディマジオがモンローと来日したときのことが書かれている。このとき二人の世話をしたのが後に巨人軍の常務となるロイ佐伯氏。実は今、そのロイ氏が遺されたコレクションの整理を手伝っている。当然ディマジオとモンローのサインも。あるところにはあるものです。
8月3日

中公新書の「化物屋敷」を仕入れたら、なるほどなという話がでていた。いわく、日本の化物屋敷は屋敷とは言いながら常に外部である。たとえば屋敷の中にお墓がある。でも西洋の場合は屋敷そのものが恐怖の対象で、お化けが棲みついている。その違いはどこにあるのか。お化けから見えてくる文化の違い。
8月2日

「馬込文学地図」(近藤富枝)を仕入れる。大田区馬込には昔、川端康成や山本周五郎など錚々たる文士が住んでいた。実はわが家が「馬込文士村散策コース」の道筋にあるので、時々ガイドに連れられたグループとすれ違う。いつお客さんになるかわからないので、精一杯の笑顔をふりまくことにしている。
大森駅前のレリーフ
7月21日

宇野信夫の「噺家のはなし」に、著者が若いころ志ん生に俳句を手ほどきした話が出ている。「洋服をきればズボンにコブができ」というのが最初に志ん生がつくった句だというが、著者は季語もないし詩もないと酷評したという。それ以後志ん生は俳句をつくらなかったという。噺家のもったいないはなし。
7月20日

1983年の乱歩賞受賞作「写楽殺人事件」を仕入れた。中にこの本を紹介した当時の書評記事の切抜きが何枚かはさんであって、井上ひさしさんも絶賛していた。僕もこの作品に感動した覚えがあり記事を読んでいたらその記憶がよみがえってきた。販売するときにはこの切り抜きも一緒に売ることにします。
7月8日

「文藝春秋に見るスポーツ昭和史」によると、昭和7年に相撲協会の体質改善と力士の待遇向上を要求して立ち上がった男たちがいたという。春秋園事件というのだそうだが、改革をすすめようとする天龍三郎たち32人の力士に対して、協会側にいた暴力団がいかに卑劣な妨害をしたかが詳しく語られている。
7月4日

「進駐軍クラブから歌謡曲へ」という本に懐かしい名前が出ていた。レイモンド・コンテさん。学生時代に半年ほどコンデさんのビッグバンドにいたけれど、その頃はもうこの本にあるような進駐軍クラブ時代の輝きはなかった。渋かったけど。コンデさん、最後の「スイングジャーナル」にも名前が出ていた。
6月27日

「続・大道芸口上集」(1989年)を読んでいたら、ヤホン売りの口上というのが出ていた。ヤホンとは香具師の隠語で本のこと。「寄ってらっしゃい見てらっしゃい。本の投売り捨て売り盲売りだよ」と言って本の値をどんどん下げていくんだけど、105円が当たり前の今じゃ、とても商売にならないね。
6月24日

開高健の「最後の晩餐」(1979年)を仕入れてきた。コピーライターの修行時代は、この人のエッセイと、鈴木康行さんの「名作コピー読本」がまさにバイブルだった。鈴木さんとはその後いっしょに仕事をさせていただいたが、御大には、銀座で見かけたことがあっただけ。もう20年以上も昔のことか。
6月23日

今日は、東京都トラック協会発行の「運びの社会学」という本。石器時代から今日に至る歴史を、「運ぶ」という側面から見せてくれて興味深い。江戸時代に交通事故が多かったことも初めて知った。まあ車といっても大八車だが。処罰は厳しく、怪我をさせたら遠島、死なせたら死罪と今よりずっと重かった。
6月19日

石毛直道の「食生活を探検する」(1969年)を仕入れた。後半の20ページをさいて語られる喰人の報告は圧巻。昔のフィージー島で行われていた人肉の調理法や食べ方が詳しく述べられている。「よい肉の見分け方」とか「下ごしらえ」という小見出しが平気で並んでいて、人間的にはついていけず。
6月17日

今日は、昭和四十年代に有名人の食卓を訪問した「わが家の夕めし」(朝日文庫)という本。ざっと見ただけだが、ちゃぶ台派が半分近くいる。あのアントニオ猪木もちゃぶ台派だった。テーブル派では、ビニール製のテーブルクロスが懐かしい。さて、本題の夕めしはというと、今とあまり変わりません。
6月13日

今日仕入れた、石井良助「江戸の町奉行」(1971年)を読んでいたら、岡っ引きの「岡」というのは「仮」という意味だということが書かれていた。同心が逮捕する本引きに対する仮の逮捕ということで岡っ引き。ほかにも今はあまり使わないが、岡惚れ、岡焼き、岡場所など。じゃあ、あの岡ちゃんも。
6月12日

今日の1冊は「スポーツの後近代」(稲垣正浩)という本。後近代というのはポストモダンのことらしい。パラパラと読んだだけだが、いきなりアーミッシュの人たちは競うスポーツはしないという話から入ってきたりして、競うことを前提とした近代スポーツへの疑問を投げかけている。1995年発行の本。
6月13日

「江戸の影絵遊び」(山本慶一)という本を仕入れた。とにかく図版が豊富。そのすべてが江戸時代のオリジナルを転載しているので見ているだけで楽しい。元々はお座敷遊びだった影絵が写し絵(動く幻燈)に発展していく解説はとても丁寧。日本のアニメーションがすぐれている理由がわかった気がした。
6月9日

今日は「夢は世につれ」(1975年)という宝くじ30周年を記念して第一勧銀が出した本。1945年7月、政府は戦費調達のために初めて「勝札」という宝くじを発売した。だが、当選発表があの8月15日だったため、「勝札」でなく「負札」と呼ばれたという、笑えないエピソードが出ている。
6月8日

今日の1冊は「忍者の生活」(山口正之)という本。雄山閣の生活史叢書シリーズは「香具師の生活」とか「落語家の生活」とか「与力・同心の生活」とか、タイトルだけでひかれてしまう。この本には、忍術の話題だけでなく人間味のあるエピソードも豊富で、忍者という職業を身近に感じることができる。

6月7日

昨日の1冊は「日本伝説紀行ガイド」(勉誠出版)という本。「徐福」「桃太郎」「相撲」「関羽」などのさまざまな伝説にまつわる史蹟を、100箇所以上も踏査し解説した。熊野信仰と結びついた「三足烏」の伝説についても詳しい。ところで、負け続きのわが三足烏。果たしてW杯で活躍できるのか。

6月4日

今日は保育社カラーブックスの「珍本古書」1978年刊)という本。まさに珍本のオンパレードだが、気になったのがバベル社という出版社がだした芥川龍之介の「羅生門」。総革装というのはよくあるがこれは表紙だけでなく本文まで全部が子羊革。でもこうなると本というより、りっぱな革製品ですね。
6月3日

今日の一冊は江戸末期に書かれた磯釣りの本「垂釣筌」(復刻版1976年刊)。庄内藩では釣りは道楽でなく「釣道」という武道として奨励されていたという。だから誤って海に落ちたり、竿を流すようななことがあれば一大事。家禄を減らされることもあったらしい。(筆者注)今はそんなことありません。
5月30日

今日は仕入れてすぐ売れてしまった鈴木地蔵の「文士の行蔵」という本。ちなみに「行蔵」とは出処進退のことらしい。巻末の対談に著者が学生時代にセドリをしていたことが書いてあった。私が初めてセドリという言葉を知ったのは三浦しをんの「月魚」という小説。あまりいい商売には書かれてなかった。

5月29日

今日仕入れた1冊は「鹿野忠雄―台湾に魅せられたナチュラリスト」(山崎柄根著)。鹿野は戦事中ボルネオの山奥で消息を絶った地理学者。台湾といえば、今年3月に行ったときに日本が統治していた時代の古本がないかと台北の古本屋をさ迷ったが、総じて日本の値付けより高目なのには驚いた。

台北の古本屋
5月28日

今日の一冊は田久保英夫の「薔薇の眠り」1972年刊)という本。著著のサインがあり、献呈先として現在も活躍している作家の名前が記入されている。名は控えるが、どんな経緯があって手離したのか。見つけたのは都内の新古書店。思わぬ拾い物をしたと自慢したいところだが、ちょっと複雑。
5月27日

今日は「骨の学校 ぼくらの骨格標本のつくり方」(木魂社)という生物の先生が書いた本。なかにフライドチキンから骨取りする方法が出ていて、フライドチキン9ピースで頭部と脚先を除いてほぼ1羽分のニワトリになることが図入りで詳しく解説されている。フライドチキンを食べる楽しみが増えそうだ。
5月26日

今日の1冊は「入れ歯の文化史」(文春新書)という本。以前に1度販売しているので2度目の仕入れ。江戸時代には「入れ歯師」という職業の人がいて、お客さんに合わせて入れ歯を作っていたという。この本には蜜蝋をつかって歯型づくりをするところから紹介されていて、入れ歯ファンにはたまらない。

5月20日

石坂昌三の「象の旅」を仕入れた。これは徳川吉宗の時代に今のベトナムから長崎に上陸しそこから江戸まで80日をかけて歩いた象の物語。東海道を象が行進していたなんて想像するだけで楽しくなってきます。


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